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打ち上げ数ランキングTOP20【2026年最新】

全国の花火大会を打ち上げ数で徹底比較。単なる数字だけでなく、各大会の歴史・特徴・見どころまで花火写真家の視点から詳しく解説します。

打ち上げ数ランキング

はじめに——「打ち上げ数」の正しい読み方

花火大会選びで多くの人が最初に気にするのが「打ち上げ数」。たしかに大きな数字には心が躍りますが、花火写真家として15年以上全国の花火大会を撮影してきた立場から言わせていただくと、打ち上げ数だけで花火大会の良し悪しは決まりません

なぜなら、打ち上げ数のカウント方法には業界統一の基準がないからです。スターマインの連射を1発ずつ数える大会もあれば、1プログラムとして数える大会もある。「約10,000発」と言っても、実際の体感は大会によってまったく異なります。

とはいえ、打ち上げ数が多い大会には「花火師の本気」が詰まっていることも事実。予算規模が大きく、技術の粋を尽くしたプログラムが組まれる傾向にあります。

この記事では、打ち上げ数ランキングを軸にしつつも、数字の裏にある各大会の個性と魅力をしっかりお伝えします。


打ち上げ数の「カウント方法」を理解する

ランキングに入る前に、打ち上げ数の考え方を整理しておきましょう。

| カウント方式 | 説明 | 採用傾向 | |------------|------|---------| | 単発カウント | スターマインの一発一発を個別にカウント | 数字が大きく出る | | 号数カウント | 打ち上げ筒の数で計算 | 比較的正確 | | プログラムカウント | 1セット(スターマイン等)を1つとしてカウント | 数字は小さく出る | | 公称値 | 主催者発表の概数。端数は切り上げが多い | 最も一般的 |

本ランキングでは各大会の公称値を採用しています。カウント方法が異なるため、厳密な比較は難しいことをご了承ください。ただし、上位の大会はいずれも圧倒的なスケールであることは間違いありません。


打ち上げ数ランキングTOP20

第1位:諏訪湖祭湖上花火大会(長野県諏訪市)

打ち上げ数:約40,000発 開催時期: 8月15日 来場者数: 約50万人

日本の花火大会で打ち上げ数トップに君臨する諏訪湖。湖上に設けられた打ち上げ台から放たれる花火は、周囲の山に反響して轟音が胸を震わせます。

「諏訪湖の4万発はもはや花火の壁。音が体に響いてくる感覚は、テレビでは絶対に伝わらない」という声が象徴するように、大規模大会は現地で体感してこそ。

なぜこれほど多いのか: 諏訪湖は四方を山に囲まれた盆地にあり、安全に大量の花火を打ち上げられる地形的条件を満たしています。さらに、諏訪地域は花火産業が盛んで、地元の花火師たちがプライドをかけてプログラムを組み上げます。

撮影者の視点: 写真家にとっては湖面反射が命。風のない夜に撮影できれば、花火が上下対称に映り込む奇跡的な一枚が撮れます。三脚を立てるなら、初島付近がベストポジション。ただし場所取りは前日からの覚悟が必要です。

見どころプログラム:

  • 「Kiss of Fire」——湖上の二箇所から扇形に広がる花火が水面で交わる
  • 水上スターマイン——湖面を這うように広がる半球形の花火
  • ナイアガラ——全長約2kmの巨大な火の滝

第2位:全国花火競技大会「大曲の花火」(秋田県大仙市)

打ち上げ数:約18,000発 開催時期: 8月最終土曜日 来場者数: 約70万人

「花火師が日本一を競う」唯一無二の花火大会。打ち上げ数こそ諏訪湖に譲りますが、一発一発のクオリティでは間違いなく日本最高峰です。

全国の花火師がその年の最高傑作を持ち寄り、創造花火の部と10号玉の部で技を競います。審査員の評価だけでなく、観客の歓声や拍手が会場全体の空気を作り上げます。

歴史: 1910年(明治43年)に始まり、100年以上の歴史を誇ります。戦時中の中断を経て復活した大会は、東北の人々にとって特別な意味を持っています。

撮影者の視点: 大曲の花火は「昼花火」があるのが特徴。青空に色煙で模様を描く技術は、写真家としても新鮮な被写体です。夜の部では、競技花火ならではの完璧な球形の花火を撮影でき、どれだけシャッターを切っても飽きません。


第3位:長岡まつり大花火大会(新潟県長岡市)

打ち上げ数:約20,000発 開催時期: 8月2日・3日 来場者数: 約100万人(2日間合計)

日本三大花火のひとつ。正三尺玉(直径約90cmの花火玉)と、復興祈願花火「フェニックス」が二大名物です。

フェニックスの衝撃: 2004年の中越地震からの復興を願って始まったフェニックス花火は、平原綾香の「Jupiter」に乗せて信濃川の上空幅2km以上に展開されます。初めてこの花火を見たとき、カメラを構えることすら忘れて見入ってしまいました。ファインダー越しではなく、肉眼で全体を感じるべき花火です。

歴史: 長岡空襲(1945年8月1日)の翌年に慰霊と復興を願って始まった「長岡復興祭」がルーツ。花火には平和への祈りが込められています。

撮影者の視点: 正三尺玉は開花直径約650m。通常のレンズでは画角に収まらないことも。広角レンズ(16〜24mm程度)が必須です。


第4位:ふくろい遠州の花火(静岡県袋井市)

打ち上げ数:約25,000発 開催時期: 8月中旬 来場者数: 約40万人

全国花火名人選抜競技大会を兼ねており、大曲と並ぶ競技花火の最高峰。特に「日本煙火芸術協会」推薦の花火師による特別プログラムは圧巻です。

特徴: 静岡県は花火消費量が全国トップクラス。花火文化が根付いた土地で開催されるだけあり、観客の「目が肥えている」のが他と違います。良い花火には惜しみない拍手が、そうでないものには正直な反応が返ってくる。この緊張感が花火師の技術を高めています。

撮影者の視点: 原野谷川河川敷が会場で、比較的フラットな地形。三脚を立てやすく、撮影環境としては恵まれています。競技花火は一発ずつ打ち上がるため、構図を整えやすいのも利点です。


第5位:天神祭奉納花火(大阪府大阪市)

打ち上げ数:約5,000発 開催時期: 7月25日 来場者数: 約130万人

打ち上げ数だけなら5,000発と控えめですが、日本三大祭り「天神祭」の一部として打ち上がることに大きな意味があります。大川に浮かぶ約100隻の船渡御(ふなとぎょ)と花火の共演は、1,000年以上の歴史を感じさせる壮観な光景です。

注意: ランキングの数字上は下位ですが、「体験としての価値」は上位に匹敵します。祭りの熱気と花火が融合する独特の空気は、花火単体の大会では絶対に味わえません。


第6位:土浦全国花火競技大会(茨城県土浦市)

打ち上げ数:約20,000発 開催時期: 11月第1土曜日 来場者数: 約70万人

秋の花火大会としては日本最大級。大曲と並ぶ二大競技大会のひとつです。10号玉の部・創造花火の部・スターマインの部の三部門で競い合います。

秋開催の魅力: 秋は空気が澄んでいるため、花火の色がより鮮明に見えます。夏の花火しか知らない人が土浦に来ると、「こんなにくっきり見えるものなのか」と驚くはず。写真家にとっても、秋の透明な空気はありがたい条件です。

歴史: 1925年(大正14年)に始まり、途中の中断を経つつも約100年の歴史。霞ヶ浦の花火師たちが技を磨き続けた結果、この地から数々の名花火師が輩出されています。


第7位:隅田川花火大会(東京都台東区・墨田区)

打ち上げ数:約20,000発 開催時期: 7月最終土曜日 来場者数: 約95万人

日本で最も有名な花火大会と言っても過言ではない隅田川。1733年の「両国の川開き」をルーツとし、約290年の歴史を持つ日本最古級の花火大会です。

第一会場と第二会場: 隅田川沿いに2つの打ち上げ会場があり、それぞれ異なるプログラムが進行します。第一会場は花火コンクール、第二会場は創作花火が中心。両方を見たいなら、両会場の中間地点に陣取るのがコツです。

撮影者の視点: 都心の花火大会ゆえ、ビルとの共演が撮れるのが最大の魅力。東京スカイツリーと花火のコラボは世界中のフォトグラファーが狙う被写体です。ただし、良い撮影ポイントは朝から場所取りが必要です。


第8位:なにわ淀川花火大会(大阪府大阪市)

打ち上げ数:約20,000発以上 開催時期: 8月上旬 来場者数: 約50万人

市民ボランティアが運営する花火大会としては日本最大級。企業協賛と市民の手弁当で成り立っている点に、大阪らしい人情を感じます。

特徴: 淀川の広い河川敷を活かした大規模なスターマインが目玉。特にフィナーレの「超ド級スターマイン」は、空一面が花火で埋め尽くされる圧巻のプログラムです。


第9位:関門海峡花火大会(福岡県北九州市・山口県下関市)

打ち上げ数:約15,000発(両岸合計) 開催時期: 8月13日 来場者数: 約120万人(両岸合計)

海峡を挟んで門司側と下関側から同時に花火が打ち上がるスタイルは唯一無二。二つの県が競い合うように打ち上げるため、プログラムに独特の緊張感があります。

撮影者の視点: 両岸の花火を同時にフレームに収めるには、海峡の真横から撮る必要があります。和布刈公園からの俯瞰撮影が定番ですが、実はこのアングルは船上から撮った方が美しい。漁船チャーターという贅沢な選択肢もあります。


第10位:神明の花火(山梨県市川三郷町)

打ち上げ数:約20,000発 開催時期: 8月7日 来場者数: 約20万人

「日本の花火の原点」とされる市川三郷町(旧・市川大門町)の花火大会。この地は江戸時代から花火の製造が盛んで、「花火のまち」を自称する歴史と誇りがあります。

特徴: 二尺玉(直径約60cmの花火玉)が惜しみなく打ち上がり、観客との距離が近いため迫力が桁違い。「お腹に響く」という表現がぴったりの体感です。


第11位〜第20位 一覧

| 順位 | 大会名 | 所在地 | 打ち上げ数 | 特徴 | |------|--------|--------|-----------|------| | 11 | 安倍川花火大会 | 静岡県静岡市 | 約15,000発 | 戦没者慰霊がルーツ。市街地で見やすい | | 12 | 熊野大花火大会 | 三重県熊野市 | 約10,000発 | 海岸の断崖での「鬼ヶ城仕掛け花火」は必見 | | 13 | 豊田おいでんまつり花火大会 | 愛知県豊田市 | 約13,000発 | 手筒花火と打ち上げ花火の共演 | | 14 | PL花火芸術 | 大阪府富田林市 | 約20,000発 | かつては12万発を誇った。近年は規模縮小傾向 | | 15 | 常総きぬ川花火大会 | 茨城県常総市 | 約10,000発 | 音楽花火のクオリティが高い | | 16 | 伊勢神宮奉納全国花火大会 | 三重県伊勢市 | 約10,000発 | 神宮に奉納する格式高い競技大会 | | 17 | 幕張ビーチ花火フェスタ | 千葉県千葉市 | 約20,000発 | 都心からのアクセス抜群。海上花火 | | 18 | 新潟まつり花火大会 | 新潟県新潟市 | 約10,000発 | 信濃川の広い河川敷で開放感抜群 | | 19 | 足立の花火 | 東京都足立区 | 約15,000発 | 都内最速開催(7月)。荒川河川敷の開放感 | | 20 | 刈谷わんさか祭り花火大会 | 愛知県刈谷市 | 約7,000発 | 無料で楽しめる。コスパ最強 |


TOP20を別角度で比較する

開催時期で分ける

| 時期 | 大会名 | |------|--------| | 7月 | 天神祭奉納花火、隅田川花火大会、足立の花火 | | 8月上旬 | 長岡まつり、なにわ淀川、幕張ビーチ | | 8月中旬 | 諏訪湖祭、ふくろい遠州、熊野大花火、関門海峡、神明の花火、豊田おいでん | | 8月下旬 | 大曲の花火 | | | 土浦全国花火競技大会 | | 不定期 | PL花火芸術 |

「質 vs 量」マトリクス

花火大会を選ぶとき、「打ち上げ数(量)」と「一発あたりのクオリティ(質)」のどちらを重視するかは好みが分かれます。

| | 質:高 | 質:中 | |---|--------|--------| | 量:多 | 諏訪湖、ふくろい遠州 | なにわ淀川、幕張ビーチ | | 量:中 | 大曲、土浦、長岡 | 関門海峡、足立の花火 | | 量:少 | 天神祭(祭りの総合力) | — |

大曲・土浦は打ち上げ数こそ中程度ですが、競技花火のため一発一発が最高品質。逆に、打ち上げ数が多くても「量で勝負」の大会は、プログラムにメリハリがないことも。実際、SNSでは「打ち上げ数が多ければ良いというわけではない」という花火通の声も。数千発でも演出に凝った大会は別格の感動がある、というのはリピーターに共通する実感です。


花火写真家が語る「本当にすごい花火大会」の条件

15年以上花火を撮り続けてきた経験から、「また行きたい」と思わせる花火大会には共通点があります。

条件1:観客との距離が近い

花火は「音」も含めた体験です。打ち上げの轟音が体を震わせ、火薬の匂いが鼻をくすぐり、燃えカスが風に乗って降りてくる。この「全身で感じる体験」は、遠くから見ていては得られません。

特に神明の花火熊野大花火は、観客との距離が近く、「花火に包まれる」感覚を味わえます。

条件2:「ストーリー」がある

単に花火を打ち上げるだけでなく、プログラム全体に物語がある大会は記憶に残ります。長岡のフェニックスには復興の祈りが、片貝まつりには個人の想いが、天神祭には1,000年の歴史が込められています。

条件3:音楽との融合が上手い

近年の花火大会は音楽花火(ミュージックスターマイン)が主流になりつつありますが、「音楽に合わせてるだけ」の大会と「音楽と花火が完全にシンクロしている」大会の差は歴然。ふくろい遠州常総きぬ川の音楽花火は技術的に頭ひとつ抜けています。

条件4:会場の雰囲気が良い

花火そのものだけでなく、観る環境も重要。河川敷でゆったり寝転がれる大会もあれば、身動きが取れないほど混雑する大会もあります。

観覧環境が良い大会TOP5:

  1. 洞爺湖ロングラン花火大会(毎晩・少人数)
  2. 神明の花火(河川敷が広い)
  3. 刈谷わんさか祭り(適度な規模)
  4. 大曲の花火(河川敷が広大)
  5. ふくろい遠州の花火(有料席が充実)

打ち上げ数の「トレンド」を読む

花火業界全体のトレンドとして、打ち上げ数を競う時代から演出の質を競う時代へとシフトしています。

かつてのPL花火芸術は最盛期に12万発を打ち上げていましたが、近年は大幅に規模を縮小。一方で、音楽花火やドローンとの融合など新しい表現に挑戦する大会が増えています。

また、コロナ禍を経て「分散型開催」の概念も広がりました。一晩に集中して打ち上げるのではなく、複数日に分けて開催することで混雑を緩和しつつ、地域経済への波及効果を高める試みです。

2026年以降、打ち上げ数のランキングに変動があるとすれば、こうした「質への転換」がさらに進む可能性が高いでしょう。


まとめ——数字の先にある感動

打ち上げ数ランキングは、花火大会選びの入り口としては有効です。しかし、実際に会場に足を運ぶと、数字では測れない魅力に出会います。

40,000発の諏訪湖は確かに圧倒的ですが、450発の洞爺湖にも静かな感動がある。18,000発の大曲は一発一発に花火師の人生がかかっている。5,000発の天神祭には1,000年の歴史が流れている。

花火は数ではない。けれど、数の多い花火には数の多い理由がある。 その理由を知った上で見る花火は、きっとあなたの夏を特別なものにしてくれるはずです。

今年の夏、あなたはどの花火大会を選びますか。このランキングが、その選択の一助になれば幸いです。